ガス切断における使用ガスの違い~アセチレン/プロパン/水素
エネルギーを使用して材料を溶かし、溶けた材料を気体によって母材から分離させる、溶断。ガス切断は、溶断の1種です。ガス切断を行うには、酸素と燃料ガスが必要です。酸素と燃料ガスを混合して、炎をつくり、金属を熱して切断します。同じく溶断に分類されるプラズマ切断、レーザー切断と比べ、厚い金属材料でも切断できるのが特徴です。
渡辺さん。ガス切断って、何ガスを利用するんでしょうか。
そうだね、一般的にはアセチレンガスを利用することが多いけど…
せっかくだからほかのガスについても教えよう。
宜しくお願いします!
以下、渡辺談
アセチレンガス
酸素とアセチレンを燃焼させ、高温の炎で金属を切断する方法。さっきも言ったように一般的な切断方法で、溶接ができる唯一のガスだ。火炎温度が高く厚い鋼材を切断できるんだけど、漏れや引火に注意が必要だよ。
プロパンガス
酸素とプロパンを燃焼させ、高温の炎で金属を切断する方法。プロパンはアセチレンよりも熱効率が低くて、厚い鋼材の切断には不向きなんだけど、酸化しにくく、爆発もしづらいから、アセチレンと比較すると安全と言えるね。ただ、CO2の排出量はかなり多めだよ。
水素ガス(+別ガス混合)
酸素と水素を燃焼させ、高温の炎で金属を切断する方法。水素ガスとはいっても、実は別のガスを混ぜて利用するケースが多いよ。
え?どうしてですか?
水素単体だと炎が安定しないんだ。例えば、プロパンを10%ほど混ぜるだけで、かなり炎の揺らぎが抑えられるんだよ。
その場合、I社やT社の混合ガスを使う、または自社の混合器でその場で混ぜるという方法があるよ。
特長としては、燃焼速度が速く、切断速度も他ガスに比べて優れていて、スパッタ・ノロの付着も少ないんだ。爆発下限界濃度が高いかつ比重が少ないから、爆発やガス滞留の恐れはあまりないね。
こんなところかな。表にしてまとめておいたよ。
アセチレン | プロパン | 水素 | |
燃焼速度 | 〇 | △ | ◎ |
安全性 | △ | 〇 | ◎ |
CO2排出量 | △ | ×(多い) | ◎(少ない) |
こんなに違いがあるんですね。水素ガスってすごいんだ!
環境に優しいクリーンなガス、という点でもかなり注目されているね。
それぞれ特長があるから、使用目的・切断機に合ったガスを利用していこう!